低周波治療

低周波治療の歴史

生体に電流を流すと痛みが治まる、あるいは筋収縮が起こる、といったこれらの現象はかなり昔から経験的に知られていました。しかし電気を治療器に応用させることが一般的になり始めたのはここ数十年の間です。そのきっかけとなったのは、1965年カナダの医学者メルザックとウオールが発表した論文で電気通電が痛みを抑えるしくみ(ゲートコントロールセオリー)が公表されたことからです。さらにこの頃、ICやトランジスターの技術的進歩により治療器をよりコンパクトに製造できたことも要因となり、アメリカでは「痛みの治療器」として家庭向けに急速に普及していきました。このアメリカで普及した治療器を、TENS(Transcutaneous electrical nerve stimulation)と呼び、低周波治療器の代名詞となりました。

電気治療器の分類

一般的に電気治療器のグループ分けは、治療に使用する周波数によって決まります。低周波治療器の場合1~999Hzまでの範囲を使用します。それ以上を中周波治療器、さらに高いものを高周波治療器と呼びます。さらに低周波治療器の中では使用目的によって分けられます。疼痛を緩和させる目的のものと筋肉を収縮させて筋力増強の目的のものと大きく2つに分けられますが一般的に言われているものは、疼痛緩和を目的にした方を指します。

導子と電流波形

生体に直接付ける電極のことを「導子」と呼びます。導子には様々な大きさ、材質、さらに吸着タイプか貼付けタイプか、などがあります。治療するためには、1つの部位に対して2極必要と
なります。導子の極性の大半がプラス・マイナスの区別がありません。その理由は、ほとんどの治療器では、交流電流で通電しているからです。電流波形は、パルス波と呼ばれるパルス幅の短いものを使用します。これは、痛みを抑制させる太い神経線維によく作用するからです。一方、筋刺激を目的にする場合は、逆にパルス幅の長いものを使用します。これは、筋の収縮を起こさせる運動神経によく作用するからです。

痛みにおける作用

設定する周波数の値によっても痛みに対する作用が異なります。一般的に高い周波数(50Hz以上)は、痛みに対して即効性がありますが、通電を停止すると比較的短時間で痛みが元に戻ります。逆に低い周波数(1~5Hz)は、即効性はありませんが徐々に痛みが軽減され、通電を停止しても痛みはすぐに戻りません。いわゆる持続効果があります。このようなことから治療器には、これらの周波数の特性を生かし低い周波数と高い周波数を交互に流す方法が取られ、即効性と持続性の2つを効果的に引き出すようにプログラムをされています。そのため治療時間は、長ければ長いほど持続効果が増大しますがおおよそ20分間位を目安に設定します。痛みの程度、個人差で治療時間は異なります。

低周波治療における周波数帯

低周波治療器の周波数帯は、1~999Hzまでありますが実際使用される範囲は、1~200Hz位の範囲です。200Hz以上では、ほとんど体感的にも作用的にも変化がないからです。低周波治療器のコンセプトは、TENSを元に開発されたものがほとんどですが、それ以外のものとして中国の鍼麻酔を発展させた「SSP療法器」が上げられます。

(物理療法)

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