Northern Songs の権利について

音楽を管理運営する音楽出版社という会社があります。

曲を作ったらそこに登録して管理することによって、テレビラジオなど曲が使われたらその音楽出版社に使用料が振り込まれ、そこからアーティストに印税が支払われるようになります。

版権を管理している音楽出版社はその音楽の作者よりも権限があり、
作者がその曲の使用を拒否しても、管理している音楽出版社がOKをだせば使用する事ができるのです。
逆に作者が使用の許可を出したくても、音楽出版社がNOと言えば使用できません。

要するに、その曲の使用に関しての権限を持っているのが音楽出版社なのです。

2枚目のシングルを出した後、ビートルズ(マネージャーのエプスタイン)は、既にある音楽出版社に自分達の曲を預けるのではなく、自分達で自分達の曲を管理する音楽出版社を設立する事にしました。

しかしエプスタインは音楽出版に関しては素人です。
2枚目のシングル「Please Please Me / Ask Me Why」を預けた音楽出版社「Dick James Music Ltd」のディック・ジェームズの仕事ぶりをエプスタインは気に入っていたので、彼を共同経営社として招き入れ、ジェームズとエプスタインが取締役のビートルズの曲を管理運営する音楽出版社「Northern Songs Ltd」を1963年設立しました。

「ノーザン・ソングス」は株式会社で、A、Bの2種類の株に分けられ
A株の49パーセントをディック・ジェームズが、B株の49パーセントをビートルズ(ジョン19、ポール20、エプスタイン10)が持ち
1965年に500万株をロンドン証券取引所に公開します。

ところが1969年ジェームズが自身が持っている株を「ATV社」に売却してしまいます。
(以後ジェームズはビートルズから裏切り者と呼ばれるようになります。)
そのため、ビートルズサイドとATVで残りの株の買い取り合戦がはじまりますが、ビートルズが負けてしまいます。購入に際して、投資家の集まった会議でジョンが「頭を下げるのはまっひらだ」と言ったのは有名ですね。

これにより「ATV社」が「ノーザン・ソングス」の筆頭株主となり、事実上の乗っ取りが行われ、「ノーザン・ソングス」はビートルズの会社ではなくなってしまいます。
当時のビートルズのビジネス・マネージャー、アラン・クラインは(エプスタインは1967年に死去)ビートルズの持ち株をジェームズの倍の値段でATVに売る事で決着をつけました。

その後、1980年代になって「ノーザン・ソングス」の親会社である「ATV社」が売却される事になり、売却される事前に、「ノーザン・ソングスの権利を2000万ドルで買わないか」という打診がポール・マッカートニーにあり、「一人だけで買うわけにはいかない」と思ったポールはジョン・レノンの未亡人であるヨーコ・オノに連絡したところ、ヨーコから「半分の1000万ドルで買える」と言われて、結局購入できず。

その数ヶ月後、マイケル・ジャクソンが5000万ドルで「ATV社」ごと購入したことにより、ビートルズの曲を使用する場合、その権限はオーナーであるマイケルにあることとなったのです。

その後マイケルは数々のスキャンダルが報じられ、莫大な和解金、弁護費用を支払う為と彼の浪費癖で、「ノーザン・ソングス」の持ち株会社である「ATV社」を担保にソニー・レコーズから借金したそうです。

当初は「ATV社」はマイケルとソニーとで50パーセントづつ所有している形だったようですが、その後、マイケルが破産を回避するために、さらにマイケルの持ち分の半分の25パーセントをソニーに売却したそうです。

そして、現在「ATV」はソニーが所有しています。

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