脳脊髄液減少症とその現状 ②


しかし、残念ながら脳脊髄液減少症はまだ「国がに認めた病気」ではないため、患者の方々は病気そのものに加えて、こうした治療費や保険の問題でも苦しむことになってしまうのです。そのような問題を解決しようと「仮認定NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援会」では、この病気を全国的に認知してもらうための啓発活動を行っています。その結果、治療費を受けて症状が改善する患者の方が増えていき、各地に患者会も設立されています。こうした協会の活動は、行政や国をも動かし、協会設立から9年後の2011年5月、ついに厚生労働省から「脳脊髄液漏出症診断基準案」(ガイドライン)が国に提出されました。これは国が「外傷を契機とした脳脊髄液減少症の病態」について推論上認めたことを意味しています。更に2012年5月には、脳脊髄液減少症の治療に有効なブラッドパッチ療法が先進医療として認められ、保険適応への大きな一歩を踏み出しています。しかし、これは一定の条件を満たす症例にしか適用されず、今後、適用の拡大が望まれます。

では実際に、脳脊髄液減少症と疑われる症状が現れた場合、どのように対処したら良いのでしょうか?発症早期の場合には、まずは、安静にして、水分補給という保存的加療が有効です。この保存的加療の効果が不十分な場合には、ブラッドパッチという、髄液を含む硬膜の外に自分の血液を注入して、髄液の漏出を止める治療を施す事もあります。この脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチの有効率は約75%で、特に思春期発症症例では90%以上(特に発症から治癒までの期間が5年以上の場合)の治療効果が認められています。

この脳脊髄液減少症の診断には、「うつ病」や「怠け病」などと判断せずに、まず疑い、患者さんの訴えに耳を傾けることが必要です。

  仮認定特定非営利活動法人
  脳脊髄液減少症患者・家族支援協会
  045-716-4646
  http://www.npo-aswp.org/
 脳脊髄液減少症治療の権威
 山王病院脳神経外科 高橋浩一 先生
 http://www.takahashik.com

参照文献:
「むち打ち症を治すための8つの鍵」柳澤正和(一般社団法人 むち打ち治療協会 代表理事) 著

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